2013年2月10日日曜日

クロアチクスの特徴

前に紹介していたWM9510というウィルさんコレクトのクロアチクス。今では一番花にSelfで受粉させていたのが、こんな感じに実っています。まだ生長過程ですが、すでにアンバランスな感じに大きく、長く果実が生長しています。

クロアチクスはこのように、花びらの大きさに対して長大な袋果を付けるのが特徴の一つだそうです。アトロルーベンスはここまで大きくなるものは希で、小振りな感じです。

この個体は、さすがウィルさんが現地で選んだものだけあり、クロアチクスとしては大輪で花型の整ったものです。色彩的なバラツキが少ないクロアチクスですが、花型や大きさにはけっこう違いがあるようです。




特徴として誰もが注目する花梗の繊毛も、この状態でも脱落したりせずにしっかり、びっしり生えています。

クロアチクスとして流通している個体の中には、開花初期には繊毛が確認できますが、雄しべが落ちる頃に繊毛も一緒に脱落するタイプが時々みられます。

また最初から繊毛がみられない個体もまま見かけます。人によっては繊毛の有無だけでクロアチクスを判定するのは間違いだ、と主張する人がいますが、そもそもクロアチクスをアトロルーベンスから独立種として新種記載したご本人、ウィルさんが重要な特徴として花梗や、苞葉の裏の繊毛を上げています。

植物の分類で注目される事の多い繊毛の有無は、たかが毛の有る無し……などとはとんでもなく、種を同定する上では重要なポイントです。検索表でも上位に出てくる事が多い程です。逆に言えばこの形質は遺伝的に越えられない壁を持っているということ。

ウィルさんによると「若い葉や花梗など」に繊毛がある、というのが特徴のようですので、生長過程で脱落する場合もありそうです。なので、開花の進んだ個体だと繊毛が無いように見えるものもあるかもしれません。ですが重要なのは、開花初期など成長の初期段階では必ず生えていると言う事。注目して判断すべきはここであり、花梗の繊毛の有る無しだけで論ずるのは早計かもしれません。

 ちょっと寒い日が続いているので開花が遅れ気味のクロアチクス・ダブルですが、ようやくこんな感じで開いてきました。

しっかり開花したらまた写真で紹介しようと思います。この個体は苞葉の裏にはしっかり繊毛がみられます。その他の特徴もクロアチクスとしての定義から外れていません。

袋果も大きく長く生長します。その頃の写真もいずれ紹介できると思います。今年は一つはSelfで採種して、もう一つは何か面白そうな花と交配しようと思いますが、何にするかまだ考え中です。

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