2013年1月18日金曜日

今年のムルティフィダスの花とシチリア島のボッコネイ

一昨年度からコンスタントに毎年咲いてくれるようになったムルティ・ムルティです。国内ナーセリーの実生個体です。初開花するまでは暑さに弱くて、育てにくい原種だなぁ……と思っていましたが、開花株になったら割と丈夫になりました。

昨年も3株程に株分けしちゃったのですが、あまり意に介さず元気に咲いています。直径3cm位の可愛い緑の花はいかにも原種らしい感じ。

ムルティは時々香る個体があるそうですが、これも香ります。オドルスによく似た緑茶っぽい雑味の混じる柑橘の香り。すっきりした感じでは無いので、あまり良い匂いとは感じません。ほのかに香る程度なので、香りの育種素材には向いて無さそうです。

 昨年初開花の WM0701、シチリア島産のボッコネイです。ウィルさんの所から株分け苗ではるばる到着したものです。シチリア島のものは小型で花の白い物が多いそうです。完全な白花ではありませんが、リグリクスに似た白い部分の多い丸っこい花ですので可愛らしいです。

香りはというと、あまりありません。リグリクスと比べて、なのでボッコネイとしては普通に香る個体と考えて良いかもしれません。 リグリクスを割合多く栽培しているのですが、明らかに柑橘系の香りをさせるものは交雑しているんじゃないかと考えるようになりました。

それというのも、現地採取の個体や、現地採取種子由来の個体は水仙に似たとてもさわやかな香りがするからです。柑橘系と表現される香りとは明らかに異なると感じます。

甘ったるさというか、しつこさが全くありません。本当に良い匂いだと思います。対してこのボッコネイも、リグリクスとは違ったまた良い香りがします。柑橘系? いやいや、自分にはそうは感じられません。何に似ているかはちょっと表現出来ないのですが、お菓子の香料の一つにこんな香りがあったような……

 一番花はやっぱり緑が残りがちです。二番花が咲く頃になると花びら中央の緑はもっと薄くなって、遠目にはほとんど白一色の花に見えます。

ボッコネイはつぼみの上がり方が独特で、ワラビとかゼンマイとか、そんな感じです。って、表現が悪すぎますねw あえてキンポウゲ科で表現するなら、節分草のつぼみの上がり方に似ています。

花芽のさやの中からつぼみが上がり始める頃には、既にある程度の大きさに育っていて、そのつぼみを抱きかかえるように苞がくるりと回り込んで花茎が伸びてくるのです。

こんな咲き方をするヘレボラスは他に見た事がありません。これがボッコネイの特徴の一つだと考えています。

 もう一つの特徴がこのギザギザの葉。ギザギザとした表現しようのない、特徴的な葉っぱです。それと小葉のサイズが比較的均一で、傘のように綺麗に広がるのも特徴の一つと思います。

成熟したムルティフィダスやヘルツェゴビヌスも、葉の大きさこそ違えど同じような傘状の葉を付けますので、ボッコネイが以前はムルティフィダスの亜種だったというのもうなずける気がします。

ただ、リグリクスとボッコネイを比較して見ていると、リグリクスからボッコネイ、ムルティフィダスと何か連続した繋がりのようなものを感じるのですが、気のせいでしょうか。自生地から考えるとそれは無いなぁと思うのですが、何か引っかかるものがあります。

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