2013年2月25日月曜日

頂き物の小輪バイカラー

つぼみが見え始めた苗を頂いたものですが、咲いてみたら小輪で可愛らしいダブルの花でした。

背面は濃いめのパープル、正面はミスト状に薄くパープルが乗るベースはピンクの花です。現在の大きさは小輪と言っていい 2cm程のサイズですが、小さなポットで咲いた株なので来年は一回りくらい大きくなるかもしれません。

実生のクリスマスローズの面白いところでもあるんですが、初開花の姿と二年目、三年目でまるで違う花のように変化する株があります。育種をしている人はその辺りも見据えて、親株を把握した上で選抜を行っていくと思いますが、これこそ経験でしか得られないテクニックの部分です。

この花はデュメトルムの交配系に更にデュメトルムのダブルを戻し交配した小輪を狙った花だそうです。狙いはほぼ成功していると考えていいのではと思います。

 根の張りが良かったので 12cmロングポットに植えていますが、花茎の高さは8cmあるかないかという可愛らしいタイプ。

ダークレッド系は自分の好みですが、このくらい可愛い花だと明るいピンクの色合いも似合いそうだと思います。

小輪のライトピンクが手元にあるので、それ辺りが交配相手に向いているかもしれません。

2013年2月22日金曜日

Fairies Dreams が届きました

花のアップだけになってしまいますが、夢花人さんのバイカラーのお花です。全体像は写真失敗してたw のでまた後日に。

Fairies Dreams シリーズのお花という事でいいと思うのですが、違っていたらごめんなさい。かっちりと揃った花びらなのに、どこかふわりとした印象があります。

これから雄しべが綺麗に開いて、更にフワフワな感じの咲き方になるそうです。知り合いの女性がこの花を一目見て「頂戴!」と叫んだのがw

一目惚れだそうで、株分けできるようになるまで待ちなさいと、なんとか言いくるめています。とても可愛い花だし、確かにこれは欲しがるだろうとは思いましたがw

もう一つ一緒に届いたのですが、そちらはかなり印象の異なるタイプ。それもいずれご紹介しようと思います。

2013年2月19日火曜日

クリスマスローズのダブルは「退化」でしょうか。

今日は珍しくまじめな話をしようと思います。それというのも、知り合いがクリスマスローズの講習会で、ちょっと気になる話を聞いてきたと教えてくれたので。

その話とは、「クリスマスローズにとって、ダブルの花は退化したものだから、花にとっては本来良い物では無い」、「シングルこそが正常な状態なのだから、ダブルはいずれ無理が来て廃れる」、というような意味あいの事を聞いたそうです。

この話って本当なの? とその人から尋ねられたわけですが……おいおい、これってたぶんに情報操作なんでは無いか? と引っかかりを感じたので、ここで自分の考えをちょっと書いてみようと思った次第です。

「退化」という言葉はネガティブなイメージがあると思います。形態学などで使う退化の意味は、本来の働きを無くしてしまった器官を指して使う言葉であり、小さくなっていたり無くなったりしたものに対して使います。それはあくまで『進化の過程で』適応の一つとして起こった変化であって、ネガティブではなくポジティブな結果起こった事です。

つまり植物にとって退化の結果変化した器官は、進化の結果であるという事です。クリスマスローズでよく知られているのは、蜜腺(ネクタリー)が花弁が退化したものであるという話ですね。キンポウゲ科の植物は一般的に花弁が消失している物が多く、ミヤマハンショウヅルやテッセンみたいな例外を除くと、蜜腺という形で有る以外は花弁を持ちません。

蜜腺は文字通りに花蜜を分泌する器官で、甘い蜜を使ってポリネーターであるハナバチとかミツバチとかみんな来て~、と呼び寄せる為に使われると考えられています。 お陰で脱落したネクタリーって、ベタベタして取り除くの面倒ですよねw

ここまでで最初の講習会の話の矛盾点にお気づきでしょうか。ダブルは退化では無く、「先祖返り」であるという事です。言葉の揚げ足取りみたいになってしまいますが、退化した結果ネクタリーとなったのであって、本来の花弁の姿に戻っただけですから、先祖返りが正解です。まぁ、この先祖返りも私は納得してないのですが……それは後ほど。

と、ここまでだとただのイヤミな揚げ足取りなんですが、ここからが本題です。まずは被子植物の系統樹を見てもらいたいと思います。立派なものがこちらで公開されているので引用を控えますが、ここで注目してもらいたいのが、キンポウゲ目の位置です。キンポウゲ目にはキンポウゲ科以外にもメギ科やケシ科などが含まれますが、キンポウゲ科は他の双子葉植物とはこんなにも早い段階で系統が分かれています。

これが何を示しているかというと、被子植物の進化の過程においてキンポウゲ科は古いタイプの植物、進化があまり進んでいない植物であるという事を示しています。バラ科やキク科が思いっきり右端にあるのはそれだけ進化した植物であるという意味になります。

さて、ここで考えて頂きたい事は、進化している植物はみんな「萼」を持っているということ。大切な生殖器官である雄しべと雌しべを守る、萼というコートのような器官を進化の過程で獲得したという事実です。クリスマスローズの花びらは、萼片です。キンポウゲ科の植物は皆そうなのですが、萼片が花弁のように変化して花を形作っています。

植物にとって花弁は、花粉を運んでくれる昆虫たちなどポリネーターにアピールするための大事な器官です。紫外線を含む色で、パラボラ効果で暖かさで、花弁に溜めた香り成分でと様々にアピールします。 その大事な花弁を守るためにも、守るものを必要とした植物たちは萼を獲得しました。

クリスマスローズで考えてみると、花びらを守ってくれるものが無い、萼がその代役をしているというのは良い状態では有りません。寒さや枝葉で傷ついたり、害虫の食害にあったり、花びら一枚突破されるとそこにはもっと大切な雄しべと雌しべがあります。もし花弁が本来の花弁の形態であるなら、そこにもう一つガードを置く事が出来ます。

さらに花弁が花弁として機能すれば、萼片は本来の意味での萼として、花を守る器官として働く事も出来るはずです。つまり、キンポウゲ科の中だけで考えれば、ネクタリーが花弁に戻ってしまうのは先祖返りと表現されますが、植物全体として考えればそれは次の進化へのステップであって、決して「退化」などでは無い、という事になるはずです。

話がだんだん飛躍してきましたw 多くのキンポウゲ科が失ってしまっている、というか持っていない花弁をネクタリーという形で獲得しているのは、クリスマスローズの進化の結果なのだと思います。更にそれが花弁となったダブル咲きというのは、もっと進化した状態なのだと、私は考えています。

そもそもの話ですが、昔の分類学の考え方の影響で、「キンポウゲ科は花弁が退化している」と表現されている事がおかしな事なのです。キンポウゲ科の植物は花弁と萼片という両器官を同時に獲得できなかった植物というだけの話で、元々持っていた物が退化したわけでは無いのだと思います。

進化の袋小路に迷い込んでしまってるのかなぁ、とは思いますがだからと言ってネクタリーが花弁化するダブルが「良い物では無い」とか「無理が来て廃れる」というのは、一体どんな根拠があってそんな事を言うんだ、と憤りすら感じてしまいます。 「ダブルが退化」なんて、あえて退化という言葉の持つネガティブなイメージを使ったのだとすると問題です。

ようやく最初に戻って来れましたが、講師の方がどんな意味でその言葉を言ったのかは私には分かりません。その場に居なかった又聞きなので、細かいニュアンスとか正確な言葉も分かりませんが、受け取った側が「ダブルってあんまり良くない物なの?」みたいな気持を抱いたなら、これはもう印象操作というか、何か意図的にそんな発言をしたとしか考えられません。

専門的な知識を持った人たちにする講習なら、多少偏った表現を使ったり、断定的な意見を言っても問題無いと思います。受け取る側もきちんとした知識でフィルター出来ますから。でも、そうでは無い、クリスマスローズが好きで、お花を育てる事が好きで、植物の事はそんなに詳しくないよって言う、大多数の人たちがこの話を聞いたらどう感じるでしょうか。

人に何かを教える立場の人は、常に謙虚で誠実であって欲しいと思います。人間ですからそこに欲目が絡むのも仕方ないとは思いますが、園芸を本来の意味で楽しみ、普及させ、発展させる為にはそんなのは邪魔でしか有りません。今回知り合いから聞いた話は、色々と考えさせられるものでした。

だいぶ長くなってしまいましたが最後に。
自分の目で見て、耳で聞いて、心で感じて、そうして考えた事を大切にして欲しいと思います。

2013年2月18日月曜日

クロアチクス・ダブルが咲きました。

例年よりは遅れてようやく開花してくれました。花の大きさが分かりにくいですが、植えているのが 15cmロングスリット鉢なので、小さい花だという事がご想像できるかと思います。

サイズは 2.5cmくらいで、うつむいて咲きます。 入手してからけっこう年数が経っているのですが、欲しいという知り合いが順番待ちしているので、毎年のように小分けにしてしまっています。

今年は花が二つ咲くこのくらいの株が二鉢だけになってしまいました。株に力を付けるためにも、しばらくは株分けできそうに無いですね。実際のところ、原種は無理に採種するとあっけなく作落ちします。

たぶんこの状態の株で一つの花丸ごと分の種子を採ると、来年は花茎が上がらずに咲かなくなると思います。なので本当なら花粉親としてのみ交配に使い、花茎が3本くらいは上がるような充実株に育ててから採種した方が良いです。

 この花は雌しべが三つあります。それぞれが袋果と呼ばれるさやに生長しますが、原種の場合は種子の数が少ない物が多くて、一つの花から多くは採れません。

ただクロアチクスの場合は大きなさやを付けて、種子の数も多く出来ます。採種すると株の消耗が激しい原因がここにあると思うのですが、見た目よりたくさんの種子が採れるのも、クロアチクスの良い点だと思います。

一つのさやに平均して8粒くらいでしょうか。ニゲルなどに比べると少ないですが、原種の中では多い方だと思います。話は変わりますが、ボッコネイはリグリクスに比べると種子採れないですよね。リグリクスが採れすぎるのかもしれませんが……

花はいわゆるバイカラータイプで、デュメトルムのダブルと交配するとこんな花になるのかなぁとか、トルカータスのダブルとならあんな花に……なんて色々と想像させてくれますが、今年はどちらも開花終了。

タイミングがずれてしまったので、それらの組み合わせはまた来年です。今年は無理させずに、原種交配系の小輪タイプへ花粉の提供に留めたいと思います。

そうそう、ダブルと書いていますが、この個体は厳密にはセミダブルだと思います。ある程度時間が経つと内側の花弁が落ちるものがあるので。ただしその程度が面白くて、全部落ちてしまう花、二、三枚残る花、全く落ちない花など状態によって分かれます。

完全に花弁化していないと考えるのか、キンポウゲ科なんだから花弁は落ちて当たり前でしょ? と考えるべきなのか、その辺りちょっと悩みます。ハイブリッドの完全なダブルは、種子が採れる頃にも花弁は落ちません。 脱落しないようになるという事は、花弁がより萼片的な性質を獲得すると言う事なのかもしれません。

2013年2月16日土曜日

今年の大木さんの花

大木さんの花は何か心引かれるものがあって、毎年数鉢ずつですが購入しています。中でもデュメトルム交配のシリーズは自分の好きなタイプの花が多くて、毎年一つは選んでしまっている気がしますw

今年の一鉢はこのデュメトルムF3のコンパクトタイプ。背が伸びずに小さくまとまるタイプのようです。花の大きさは3.5cm程で、原種のデュメトルムダブルより一回り程大きい花です。

花びらに撚れが見られますが、白い花なのでかえって趣を感じます。乱れの無いかちっとした花型も白い花に合いますが、風で揺れるさまを思わせるようなゆったりした波は有りな気がします。

ここから更に小さな花に持って行くか、ある程度草丈の出るタイプに変更していくか、どちらも面白そうだと思いますが、今年はいい交配相手が居ないので株の充実に努めようかと思います。

 もう一つは中輪のワインレッド色のダブルです。昔からこういう色合いの花が好きで、ついつい手に取ってしまう事が多いです。今年は淡い色彩のピコティーやピンクが人気のようですが、私は相変わらず渋いグリーン系とか、ワインレッドやダークレッドの花ばかり買ってる感じ。

この花はかなりの充実株だったので植え替えましたが、根を見て判断する限りだとトルカータスの交配系では無いかと思いました。かなりトルカータスの形質が強い根をしていました。ちなみに上のデュメ交配は、ほとんどデュメトルムそのものな根っこでした。

他にも苞葉の形質、花の立ち上がり方などからトルカの血筋じゃ無いかと判断していますが、花の形と色合いにプルプラの雰囲気も感じています。ただ、かなり遠い祖先にプルプラ入ったのかも? 位の感じ方ですが。

こちらの花とはグラハムさんのトルカ交配系小輪と交配してみようと思っています。どちらも赤系でダークな色彩の花なので、あまりパッとしたものは出来ないでしょうけど。渋く落ち着いた小輪の花になればいいなと思っています。

今年の発芽苗

早いものは昨年末から発芽を始めていましたが、遅かった原種もボチボチ発芽を初めて揃ってきました。全体の傾向として、やっぱり純粋な原種程発芽が遅いようです。

写真の中で右端一列と左から三列目の上から二番目。これらはどれもハイブリッド同士の交配です。やはり発芽が早くて、本葉が出始めているものも。

右から二列目の一番上は、ハイブリッドですがゴールド系。昨年開花したネオンタイプで、小輪で丸弁の形の良い個体のSelfです。やはりちょっと弱さが出ている気がします。

その下の3ポットはニゲルの素心系のSelfですが、これは毎年発芽が遅いのでこんなものでしょう。二月下旬にならないと芽が出てきません。残りはだいたいが原種同士の交配か、原種ハイブリッドです。

左から二列目の上から二番目。まだ発芽していませんが、これが今年もっとも大切に考えている交配苗です。わずか5粒しか採れなかった貴重な種子ですが、発根は既に始まっているようでポットの底から根が確認できました。

地上部が出てくるのが待ち遠しいですが、交配の組み合わせを考えるともしかしたら双葉は……? 結果はどうなりますやら。

2013年2月13日水曜日

アブルジクスが開花しました。

原種の中では花が大きくて、遅咲きである事が知られているアブルジクスが咲き始めました。この株はNSだと思いますが、葉の特徴や花の特徴から交雑していないと思います。

鉢は15cmのスリットロング鉢。花のおよその大きさが分かると思います。手持ちの原種の中では、アブルジクスが一番の遅咲きなので、この花が咲くと今年もそろそろ終盤だなぁ……なんて思います。

落葉性の原種ですが、寒風に当てないとこの時期までギリギリ葉が残ります。茶色く枯れ混み始めているので、直に自然と枯れてしまうのですが。

花はヴィリディスを一回り大きくしたような感じと言いますか、濃いめの緑色でしっかりした花を咲かせます。あまり黄色の色素は感じません。

時々香りのある個体の話を聞きますが、アブルジクスには香りが無いのが標準のようです。あっても緑茶の香りというか、変なにおいが少しするくらいです。

アブルジクスの変異個体群と言われる MT0002 は開花時期も早く、花に香りもあります。ベースの緑色ももっと明るい黄緑色で、花の形もやや抱え咲きの丸弁傾向です。

全ての MT0002 がそうなのかは分かりませんが、我が家で今年7年目を迎える MT0002 はそんな感じです。あくまで想像ですが、ボッコネイの本土タイプと交雑して成立した個体群なんじゃ無いかなと思っています。遺伝子の調査が進めばいずれ解明されるかもしれません。

2013年2月10日日曜日

クロアチクスの特徴

前に紹介していたWM9510というウィルさんコレクトのクロアチクス。今では一番花にSelfで受粉させていたのが、こんな感じに実っています。まだ生長過程ですが、すでにアンバランスな感じに大きく、長く果実が生長しています。

クロアチクスはこのように、花びらの大きさに対して長大な袋果を付けるのが特徴の一つだそうです。アトロルーベンスはここまで大きくなるものは希で、小振りな感じです。

この個体は、さすがウィルさんが現地で選んだものだけあり、クロアチクスとしては大輪で花型の整ったものです。色彩的なバラツキが少ないクロアチクスですが、花型や大きさにはけっこう違いがあるようです。




特徴として誰もが注目する花梗の繊毛も、この状態でも脱落したりせずにしっかり、びっしり生えています。

クロアチクスとして流通している個体の中には、開花初期には繊毛が確認できますが、雄しべが落ちる頃に繊毛も一緒に脱落するタイプが時々みられます。

また最初から繊毛がみられない個体もまま見かけます。人によっては繊毛の有無だけでクロアチクスを判定するのは間違いだ、と主張する人がいますが、そもそもクロアチクスをアトロルーベンスから独立種として新種記載したご本人、ウィルさんが重要な特徴として花梗や、苞葉の裏の繊毛を上げています。

植物の分類で注目される事の多い繊毛の有無は、たかが毛の有る無し……などとはとんでもなく、種を同定する上では重要なポイントです。検索表でも上位に出てくる事が多い程です。逆に言えばこの形質は遺伝的に越えられない壁を持っているということ。

ウィルさんによると「若い葉や花梗など」に繊毛がある、というのが特徴のようですので、生長過程で脱落する場合もありそうです。なので、開花の進んだ個体だと繊毛が無いように見えるものもあるかもしれません。ですが重要なのは、開花初期など成長の初期段階では必ず生えていると言う事。注目して判断すべきはここであり、花梗の繊毛の有る無しだけで論ずるのは早計かもしれません。

 ちょっと寒い日が続いているので開花が遅れ気味のクロアチクス・ダブルですが、ようやくこんな感じで開いてきました。

しっかり開花したらまた写真で紹介しようと思います。この個体は苞葉の裏にはしっかり繊毛がみられます。その他の特徴もクロアチクスとしての定義から外れていません。

袋果も大きく長く生長します。その頃の写真もいずれ紹介できると思います。今年は一つはSelfで採種して、もう一つは何か面白そうな花と交配しようと思いますが、何にするかまだ考え中です。

2013年2月8日金曜日

抱え咲きのブラックダブル

クロアチクスのダブルが咲くまでもう少し掛かりそうなので、今回は先日のとは別のブラックダブルをご紹介します。

マットブラックでは無いので、今ではありふれたブラックダブルの一つと言えると思います。評価できる点は丸弁で抱え咲きである事。

それから花弁の幅が広くて撚れが無く、厚みもあってしっかりしている事。ここからマットブラックの似たタイプと交配していくと完成型に近付きます。

グレーマーブルで更に花型の良い物もありますが、その花を交配に使うとどうしても黒から離れてしまうようです。花型が良いだけに残念ですが、マットな色味は突き詰めると本当に黒になるので、やっぱり色を重視して交配する方が良さそうです。

ちなみにこのタイプだと、セルフではあまり黒は出てきません。ダークパープルになるものが殆どです。

2013年2月2日土曜日

咲き分けのブラック・ダブル

2010年に初開花の松浦園芸さんから苗で購入したブラックダブルです。艶のある黒にやや赤味の入るグレーのピコティになる花で、非常に気に入っている花なんですが、これがまたくせ者でw

右後ろに写っている花をご覧になれば分かる通り、この個体はダブル、セミダブル、シングルと咲き分けます。

不完全なダブルの個体で、株に力が付くとダブルになったりとか、一番、二番花までダブルで三番花はシングルに咲くとか、そういう物は時々見ますが、これは一番花でもダブルにもセミダブルにもシングルにも咲くし、一番がシングルでも二番花がダブルになったりとか、とにかく安定しません。

 それともう一つ、この個体は花茎が伸びません。花芽の根元から細めの花茎が数本伸び上がって、その先に1~3個の花を付けます。

今年は花芽が三本出来ましたので、地際から花茎が三本上がっていますがどれも非常に貧弱で短い。普通のクリスマスローズのように、太い花茎が一本すっと伸びて先で枝分かれするので無く、根元から分かれます。

とてもじゃないが良い性質とは言い難いです。ですが、何か面白みを感じる個体でもあります。花は好みなので、この株にいくつか交配を試しています。来年あたりからそれらが咲いてくると思いますが、さて、どんな花になりますやら。

あとこの個体、葉芽が出てくるのが非常に遅いです。交配種なら開花のタイミングで、新芽がある程度大きくなっているのが普通なのですが、こやつは下手をすると5月くらいまで葉芽が出てきません。そのまま枯れるんじゃ無いかと毎年ハラハラしてます。

妙な奴だなぁとは思いますが、手が掛かっても律儀に毎年咲こうとしてくれるので、可愛がって育てています。

2013年2月1日金曜日

クロアチクス・ダブル

そろそろ普及してきた感のあるクロアチクスのダブル咲きです。今年も順調に生育中。昨年に入手した個体ですので、まだ小さな一本立ちですが、つぼみは三つ付けてくれました。

クロアチクス全体に言える事ですが、非常に芽吹きが良くて株立ちになりやすく、花も多く付けます。自生地でもわさっと大株になっている写真を見ますし、見かけより丈夫な原種のようです。

この株は現地採取のものではありません。国内のナーセリーで原種クロアチクスの Self 種子より産まれたとか、現地採取のコレクトシードから産まれたとか、色々言われていますが、由来ははっきりしません。

花を見る限りでは、クロアチクスっぽくも有り、アトロルーベンスでもいいんじゃ? と思う部分も有り、どちらなのかよく分かりません。トルカータスなどとは明らかに違うので、まぁどちらかなのでしょう。

クロアチクスの特徴の一つとして真っ先に上げられる、花梗や苞葉の裏の「繊毛」は、あまり多くはありませんが長めの毛が生えています。これを持ってクロアチクスとして良いのかどうか私には分かりません。ただ、花色、苞葉の様子、草姿、根の様子、葉の様子、落葉性の強さなどを鑑みるに、クロアチクスなのかなぁと言うところです。

まだつぼみなので開花したらまたご報告しようと思います。昨年咲いた花はいくつかの花粉親に使って、つぼみの頃からしっかり袋掛けして「厳密に」Self で採種しました。

その種子がそろそろ発芽を始めていますので、数年後には分離するのか、ある程度の変異幅で固まるのか、はっきりすると思います。

この個体自体は育てやすくて、花も可愛らしく野趣があって育てていて楽しいものです。原種だなんだとこだわらずに花の良さだけを愛でていれば、それこそが幸せなのかもしれません。でも、せっかくだし交配してみたいと思いますよね。